出張の日当はなぜ非課税なのか——「勤務する場所」から考える旅費規程の作り方

土台を間違えると、旅費規程は崩れます

「旅費規程を作って日当を出せば、税金も社会保険料もかからずに手取りが増える」

顧問先の社長からよくいただくご相談です。結論から言えば、これは本当です。ただし、ネット上で語られる旅費規程の解説の多くは、いちばん大事な出発点を飛ばしています

その出発点とは、「その社員の勤務する場所はどこか」という問いです。

意外に思われるかもしれませんが、日当が非課税になるかどうかは、金額よりも先に、ここで決まります。就業場所の定めが曖昧なまま立派な旅費規程だけ作っても、土台のない建物と同じです。

この記事では、条文の構造どおりに「勤務する場所」から順に組み立てていきます。

第1章 すべての出発点は「勤務する場所」

非課税の入口となる条文

出張の日当が非課税とされる根拠は、所得税法第9条(非課税所得)第1項第4号です。

給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの

冒頭の「勤務する場所を離れて」に注目してください。これが非課税の入口です。 ここを通れなければ、その先の金額の話は一切意味を持ちません。

「勤務する場所」とは、物理的な所在ではありません

では「勤務する場所」とは何でしょうか。

その日たまたま働いている場所、と読んではいけません。そう読むと条文が壊れるからです。いる場所がすなわち勤務場所なら、そこを「離れる」ことは論理的に不可能になり、誰もこの規定を使えなくなってしまいます。

正しくは、労働契約・就業規則で指定された就業場所(所属事業所)です。物理的な所在ではなく、契約上の定点を指しています。

同じ号に「転任に伴う転居」が並んでいることも、これを裏付けます。転任とは勤務地の変更であり、契約上の概念です。この規定全体が「指定された勤務地」という定点を前提に組み立てられているのです。

同じ移動でも、指定次第で扱いが変わる

これを最も分かりやすく示しているのが、在宅勤務者の交通費に関する日本年金機構の整理です。

在宅勤務・テレワークの社員が一時的に出社する際の交通費について、次のように扱いが分かれます。

契約上の労務提供地交通費の扱い
自宅とされている場合「原則として実費弁償と認められ、標準報酬月額の算定基礎となる報酬には含みません」
事業所とされている場合「その費用は原則として通勤手当として報酬に含みます」

自宅から会社まで行く。物理的な移動はまったく同じです。それでも、契約上どちらを就業場所と指定しているかだけで、旅費になるか通勤費になるかが分かれます。

「勤務する場所」は契約で決まる。この運用が現に行われているということです。

だから、就業規則が土台になります

ここから導かれる実務上の結論は、次のとおりです。

旅費規程を作る前に、就業規則・雇用契約で就業場所を明確に指定してください。

実際には、就業場所欄が「当社本社およびその他会社が指定する場所」といった空文で埋まっている会社が少なくありません。この状態では、何が出張で何が通常勤務なのか、会社自身が説明できません。

順序はこうです。

  1. 就業規則・雇用契約で就業場所を指定する
  2. その指定を起点として、旅費規程で出張の定義を切る
  3. そのうえで日当額を役職別に定める

1を飛ばして3から入るから、税務調査で足元をすくわれるのです。

第2章 通勤・外勤・出張——3つは別の概念です

就業場所が定まると、社員の移動は3つに整理できます。この区別が、日当の可否を決めます。

区分内容日当所得税社会保険
通勤自宅と就業場所の往復不可通勤手当は月15万円まで非課税報酬に含まれる
外勤就業場所を拠点とした日常的な営業活動等不可
出張就業場所を離れて職務を遂行する旅行通常必要な範囲は非課税報酬に含まれない

外勤に日当は出せません

都内の営業社員が毎日クルマで担当エリアを回っている。これに日当を出せば、まず否認されます。

ただし、理由は「毎日だから」ではありません。その移動が所得税法9条1項4号の言う「旅行」に当たらず、通常の勤務そのものだからです。この社員が月に2回しか外回りをしなくても、結論は同じです。

逆に言えば、回数は判断基準になりません。東京本社の社員が毎週大阪へ行く(年50回)のは、頻度が高くても毎回が出張です。日当を出して何の問題もありません。

長距離トラックの運転手、建設現場を回る施工管理者、巡回監査に出る会計事務所職員、出張修理のフィールドエンジニア。移動こそが業務の中核である職種は数多く存在します。これらに日当を払えないという解釈は、条文からも実務からも出てきません。

判別軸は頻度ではなく、就業場所からの距離・宿泊の要否・通常の職務範囲を越えているかです。

長期常駐は、勤務する場所が移ります

一方で、日当を払えなくなるケースがあります。

同じ現場に半年常駐している。この場合、その現場が実質的な就業場所になっています。就業場所が移った以上、そこへの移動はもはや「勤務する場所を離れた旅行」ではありません。

長期・同一地滞在は、出張ではなく勤務地の移動に転化します。 規程には、この点を織り込んだ逓減条項が必要です(第6章で後述します)。

第3章 なぜ日当は非課税なのか

入口を通過したところで、日当そのものの性質を確認します。

日当は「対価」ではなく「費用の弁償」です

ここが最も誤解されているポイントです。

「出張は大変な仕事だから、その分を手当で報いる」。この理解は、税務上まったくの誤りであるばかりか、危険です。

もし日当が「特別な業務に対する対価」だとすれば、それは労務の対価=給与そのものです。対価である以上は担税力のある所得であり、非課税とする理由は消えてしまいます。

条文が非課税としているのは、あくまで「その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品」。つまり費用の弁償です。

所得税は「所得」、すなわち担税力のある儲けに課される税金です。出張の日当は、社員が出張のために余計に負担することになる出費を会社が肩代わりしているにすぎません。手元に5,000円が入っても、その5,000円は出張中の余分な出費で出ていく。差し引きゼロで、社員は1円も儲かっていない

儲かっていないものに課税するのは筋が通りません。だから所得税法は、これを最初から課税所得の枠外に置いているのです。

なぜ領収書が要らないのか

交通費や宿泊費は実費精算が原則です。ではなぜ日当だけ、領収書なしの定額支給が認められるのでしょうか。

日当が埋めているのは、飲食の割高分やコインロッカー代、休憩に使う喫茶代といった性質上いちいち領収書で個別把握するのになじまない支出だからです。

これは支出の属性であって、出張の頻度とは関係がありません。年1回の出張者の雑費も、年200回の出張者の雑費も、領収書になじまない度合いは同じです。

実費を下回っても、返金は不要です

そして、ここが節税効果の源泉です。

日当は定額支給であるため、実際の支出が支給額を下回っても、差額を返金する必要がなく、課税もされません。日当5,000円を受け取り、実際の雑費が2,000円で済んだとしても、差額3,000円は非課税のまま手元に残ります。

第4章 いくらまでなら「通常必要」か

金額の上限は、どこにも書かれていません

「日当は◯円までなら安全」という目安がよく語られますが、法令にも通達にも金額の上限は一切ありません

判断基準を示しているのは、所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)です。

その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいう

そのうえで、範囲を超えるかどうかの判定に次の2点を勘案するとしています。

(1) 社内バランス基準

その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか

(2) 社会的相場基準

その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか

つまり判断は常に相対評価です。一般社員の国内日帰り出張で1万円なら説明は苦しいでしょうし、逆に大企業役員の長期海外出張であれば1日3万円でも十分に説明がつきます。「◯円を超えたら否認」という線は存在しません。

逆に、「絶対に安全な金額」も存在しません

上限がないということは、その裏返しとして、「この金額までなら絶対に安全」というラインもないということです。

低めに設定してあれば無条件に安全、というわけではありません。実際に問題になるのは、金額の絶対水準そのものではなく、次のような場合です。

  • 役員だけが突出していて、社内のバランスを説明できない
  • 同業種・同規模の水準から乖離しているのに、その理由を説明できない
  • 役員報酬を減額し、同時期に同程度の日当を新設している
  • そもそも出張の実態が確認できない

分岐点は、その会社の実態に照らして相当と説明できるかどうかです。裏を返せば、説明の材料さえ揃えておけば、金額の多寡そのもので争いになることはあまりありません。

「公務員基準だから安全」は、もう使えません

相場の物差しとしてよく引かれてきた国家公務員の日当ですが、2025年4月施行の改正旅費法で廃止されました。現在は上限付き実費支給の宿泊費と、夕食・朝食代に充てる定額の「宿泊手当」に再編されています。

古い解説記事を参考にすると、すでに存在しない基準に合わせることになります。ご注意ください。

民間の相場感

参考として、産労総合研究所「2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査」(2025年6〜8月実施、161社回答)によれば、国内出張の宿泊料は全地域一律で一般社員8,878円、部長クラス10,425円という水準です。

日当については、実務上は日帰り2,000〜3,000円程度、宿泊を伴う出張で3,000〜5,000円程度がよく見られる水準です。ただしこれは相場の一例にすぎません。自社の業種・規模・出張の実態に照らして設定し、根拠として参照した資料を残しておくことのほうが重要です。

超えてしまった場合

通常必要な範囲を超えた部分は、所得税基本通達9-4により、超過部分が給与所得として課税されます。

特に役員の場合が厄介です。超過部分は役員給与と扱われ、定期同額給与にも該当しないため、法人側で損金不算入・個人側で給与課税という二重の不利益になりかねません。

第5章 会社にとっての6つのメリット

① 「法人は損金・個人は非課税」の二重効果

同じ金額を出すのでも、役員報酬と日当ではまったく結果が変わります。

項目役員報酬で支給旅費規程の日当で支給
会社の損金○ なる○ なる
受け取る側の所得税・住民税× かかるかからない
社会保険料(労使双方)× かかるかからない
消費税の仕入税額控除× できないできる

役員報酬は損金にはなりますが、受け取る側で所得税・住民税・社会保険料を引かれます。所得税率20%+住民税10%の方なら、年150万円のうち約45万円が税金で消え、さらに社会保険料が乗ります。

一方、旅費規程に基づく日当は、会社では旅費交通費として損金になり、受け取る側では非課税。額面がそのまま手取りになります。

② 消費税の仕入税額控除が取れる

見落とされがちですが、金額インパクトの大きい論点です。国税庁タックスアンサーNo.6459は次のように示しています。

国内の出張または転勤のために、役員または使用人に対して支給した出張旅費、宿泊費、日当については、支給した金額のうちその旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れになります

役員報酬は不課税取引ですから、消費税の控除は一切取れません。同じ金額を日当として出せば控除対象になるわけです。年150万円なら150万円×10/110=約13万6,000円が上乗せの効果になります。

ただし海外出張は別扱いです。同タックスアンサーは「海外への出張または転勤のために支給した出張旅費、宿泊費、日当は原則として課税仕入れになりません」としています。所得税では非課税でも、消費税では控除が取れません。経理処理を分けてください。

③ インボイスがなくても控除できる

国税庁の資料によれば、従業員等に支給する出張旅費・宿泊費・日当等のうちその旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能とされています(出張旅費等特例)。社内規程の有無や、概算払い・実費精算の別は問いません。

注目すべきは、この「通常必要と認められる部分」の判定が、所得税基本通達9-3の例により判定するとされている点です。つまり、所得税で非課税になる日当は、そのままインボイス不要で消費税の控除も取れるということです。

領収書の要らない日当が、インボイスも要らない。事務負担の重いインボイス制度下では、大きな価値があります。

④ 社会保険料の算定対象にならない

健康保険法・厚生年金保険法上の「報酬」は労働の対償として受けるものを指します。日当は労働の対価ではなく実費弁償ですから、報酬の定義に当たりません。

日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」でも、事業主が負担すべきものを被保険者が立て替えてその実費弁償を受ける場合は労働の対償と認められないため「報酬等」に該当しないとされ、その具体例として出張旅費・赴任旅費が明示されています。

社会保険料は労使折半で合計およそ30%。役員報酬を増やせば会社負担も個人負担も増えますが、日当ならこれが発生しません

なお、通勤手当は所得税では非課税でも社会保険では報酬に含まれます。「非課税なら社会保険料もかからない」は成り立ちません。混同しないでください。

⑤ 経理事務が軽くなる

日当は定額支給ですから、領収書の回収も保管もチェックも不要です。出張のたびに社員がレシートを集め、経理が1枚ずつ確認する作業がなくなります。前述の出張旅費等特例により、インボイスの確認作業からも解放されます。

⑥ 従業員の実質的な処遇改善になる

日当は非課税・社会保険料の対象外ですから、額面がそのまま手取りになります。基本給を月1万円上げても手取りは7,000円台ですが、日当なら1万円は1万円です。

出張は移動時間も長く、生活リズムも乱れます。そこが手取りベースで報われる仕組みは、単なる節税策を超えた処遇改善として機能します。

補足:これは法人だけの制度です

意外と知られていませんが、個人事業主は自分自身に日当を支給できません

条文は「給与所得を有する者が」と規定しています。個人事業主本人は事業所得者であって給与所得者ではないため、この非課税規定の対象外です(従業員への日当は支給できます)。

一方、法人の役員は「給与所得を有する者」に当たります。社長自身が出張すれば、規程に基づいて自分に日当を支給し、会社では損金・自分は非課税として受け取れます。出張の多い事業をされている個人事業主の方は、法人化の判断材料に加えてください。

第6章 否認されないための7つのチェックポイント

① 就業場所を就業規則・雇用契約で明確にする

第1章で述べたとおり、これが土台です。「会社が指定する場所」といった包括的な書き方では、出張の起点が定まりません。

② 旅費規程を作り、承認の記録を残す

規程がなければ、日当は単なる給与の追加支給と見られます。役員会や株主総会での承認を経て、施行日を明記して保管してください。「後から作った」と疑われないよう、作成日と適用開始日をはっきりさせておくことが大切です。

③ 出張の定義を客観的な基準で切る

ここが外勤との線引きです。 次のような基準を規程に書き込んでください。

  • 所属事業所から片道50km(または100km)以上の移動を出張とする
  • 通常の担当エリア内の移動は、距離にかかわらず出張としない(=外勤)
  • 日帰りと宿泊を区分し、宿泊なしの日当は薄く設定する

この定義があれば、回数制限を設けなくても、外勤は自動的に日当の対象外になります。

④ 長期滞在の逓減条項を入れる

同一地への連続滞在が一定日数(例:15日、30日)を超えたら日当を逓減する。一定期間(例:3か月)を超える常駐は、出張ではなく応援勤務・転勤として別建てにする。

この条項が入っているだけで、規程の説得力は目に見えて上がります。「実費弁償として設計している」という意思表示になるからです。

⑤ 全役職員を対象にし、役職間のバランスを取る

所得税基本通達9-3(1)の要請です。「社長だけに支給」は最も危険なパターン。全社員を対象とし、一般社員を1として役員2〜3倍程度の範囲に収めるのが一つの目安です。

⑥ 金額の根拠資料を残す

同通達9-3(2)の要請です。同業種・同規模の他社水準を調べた資料を保管してください。金額そのものより、設定プロセスを説明できることが重要です。

⑦ 出張の実態を証拠として残す

規程があっても、出張の事実がなければ当然に否認されます。

出張報告書(日付・行先・訪問先・目的・面談者・成果)を必ず作成し、交通機関の記録、訪問先とのメール、名刺、宿泊の記録とあわせて保存してください。日当そのものに領収書は不要ですが、「その出張が実在した」ことの証拠は必要です。ここを混同しないでください。

旅費規程に盛り込むべき項目

  • 目的・適用範囲(役員および全従業員に適用することを明記)
  • 就業場所との関係(出張の起点となる所属事業所の定義)
  • 出張の定義(距離基準・時間基準、日帰り/宿泊/海外の区分、外勤との区別)
  • 役職区分(役員・部長・課長・一般社員など)
  • 日当の額(役職別・出張区分別の一覧表)
  • 長期滞在時の逓減規定
  • 交通費の取扱い(利用可能な等級、グリーン車・ビジネスクラスの可否)
  • 宿泊費の取扱い(定額制か実費上限制か、地域区分の有無)
  • 海外出張の特則(支度金、通貨換算の方法)
  • 申請・精算の手続(出張申請書・報告書の様式と提出期限)
  • 規程の改廃手続と施行日

よくあるご質問

Q. 毎日出張している社員に、毎日日当を払ってよいのですか?

その移動が規程上の出張の定義を満たしているなら、問題ありません。回数は非課税の要件ではありません。

ただし、日当が全営業日に定額で支給されている状態になると、外形上は営業手当と見分けがつきません。実費との対応関係を説明できなければ、所得税では超過部分の給与認定、社会保険では「労働の対償」=報酬該当を指摘される余地が生じます。出張の定義を厳格に切り、外勤の日には支給しない運用が前提です。

Q. 社長ひとりの会社でも旅費規程は作れますか?

作れます。一人社長の法人でも、役員は給与所得者ですから非課税規定は適用されます。ただし比較対象となる従業員がいないぶん、通達9-3(2)の社会的相場との比較がより重要になります。控えめな金額設定をおすすめします。

Q. 日当を支給したら、食事代は別に経費にできますか?

一人での食事代は日当に含まれると考えるのが原則です。ただし取引先との会食は接待交際費として別建てで処理できます。規程で「日当は本人の食事代・諸雑費を含む」と定義しておくと、線引きが明確になります。

Q. 途中で日当の金額を上げても大丈夫ですか?

問題ありません。ただし規程の改定手続を経て、議事録と改定後の規程を残してください。業績が良かった期末だけ大幅に増額するといった運用は、利益調整と見られる典型パターンです。避けてください。

Q. 在宅勤務の社員が本社に来る場合の交通費はどう扱いますか?

契約上の就業場所によります。就業場所が自宅とされていれば実費弁償(旅費)、事業所とされていれば通勤手当です。在宅勤務制度を導入した際は、就業場所の定めを見直してください。

Q. 日当の源泉徴収や年末調整はどうなりますか?

非課税所得ですから源泉徴収の対象外であり、源泉徴収票の支払金額にも含めません。給与計算ソフト上は非課税項目として設定してください。

まとめ

出張の日当が非課税になる理由は、所得税法第9条第1項第4号にあります。日当は儲けではなく、勤務する場所を離れることで生じる費用の弁償だから。これに尽きます。

そして、その前提となるのが「勤務する場所はどこか」という問いです。ここが定まって初めて、通勤・外勤・出張の区別がつき、日当を出せる移動と出せない移動が分かれます。

会社にとってのメリットを整理すると、次のとおりです。

  • 法人では損金、受け取る側では非課税という二重の効果
  • 役員報酬では取れない消費税の仕入税額控除が取れる
  • インボイス不要(出張旅費等特例)で経理事務も軽くなる
  • 社会保険料(労使合計約30%)の対象外
  • 領収書の回収・確認が不要で事務コストが下がる
  • 手取りベースでの実質的な処遇改善になる

一方、否認されるのは、規程がない・出張の定義が緩く外勤まで含んでいる・金額が実態から乖離している・出張の実態が伴わない、といったケースです。「金額をいくらにするか」より「どの移動を出張とするか」で決まるとお考えください。

就業規則の就業場所条項から旅費規程まで一貫した設計になっているか、既存の規程が現行法令に照らして適正か。一度点検されることをおすすめします。税理士法人OKS岡山では、旅費規程の設計・点検についてのご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

参考資料

※本記事は2026年8月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の事案については、適用関係が異なる場合がありますので、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

投稿者プロフィール

浅山直希

Follow me!